宇賀田会計事務所ニュース 平成23年7月号
2011/07/01
平素、宇賀田会計事務所をご利用いただき、まことにありがとうございます。
だいぶ暑くなってきましたが、電力不足が懸念されるなかエアコンをどうしようかと悩んだりする毎日です。今の時期はまだいいですけど、夏本番は結局使うでしょう。節電で、体調悪くなる人が急増するのではないでしょうか。
今回のお知らせは長いです。文字ばっかりで申し訳ありません。
1. 7月は労務関係の手続きがたくさんあります
期限は、7月11日です。
○源泉所得税の納付(納期の特例の方)
○労働保険の申告書
○社会保険の算定基礎届け
2. 平成23年税制改正その後
先日、平成23年税制改正が成立しました。
元々の法案に盛り込まれていた所得税の増税(給与所得控除の上限設定、短期の役員退職金等)、相続税の増税(基礎控除の見直し等)、法人税の減税(税率引下げ等)は見送られ、一転してマイナーチェンジとなりました。
(1)多くの税制は、そのまま据え置き
○ 中小企業の法人税率18%の措置
○ 証券優遇税制(所得税7%住民税3%)
○ エコ関連投資減税 など
廃止された租税特別措置もあります。
(2)大きな変更点は以下のとおり
○雇用促進税制(法人税、所得税)
従業員を一定以上純増させると、税額控除が受けられます。
○寄附金控除の拡充
○年金所得者の確定申告免除(平成25年分から)
多くの年金生活者の確定申告は不要になります。
○消費税の課税点の見直し
今まで「2期前の売上が1000万円行かなければは消費税がかからない。」という原則があったのですが、「その年度の前半までで売上か支給した給与が1000万円を超えると消費税が課税される」に変わります(平成25年1月1日以降開始)。
○全額の仕入税額控除見直し
課税売上割合が95%を超えると全額仕入控除できたのですが、売上が5億円を超える会社については、個別対応もしくは、課税売上割合までしか控除できなくなります(平成24年4月以後)。
消費税の改正が最も影響があると思われます。特に、法人成りや新会社設立を検討している方にとっては、かなり影響があるはずです。
改正の詳しい内容は、お問い合わせください。
(3) 納税者権利憲章の先送り
税務調査等での手続きで、納税者保護の制度が法制化されるはずだったのですが、見送られました。重要な改正だったのですが、なぜでしょう。
税制改正大綱が出た時は、大きな改正になる雰囲気でしたが、あまりの変わらなさにむしろビックリしました。震災以降、全てが滞ってしまっている感じがします。震災対応の増税も噂されていますが、所得税等の定率増税よりも、今回の見送られた増税案の方が公平な感じがします。
3. 事業承継のはなし 2
先月、事業承継の際に、後継者がいないケースの話にちょっと触れました。今回は後継者がいるケースの話をしたいと思います。
(1)株式をどうするかという問題
承継を行う場合には、特に会社の株式が問題となります。会社のことは全部株主総会で決められるからにほかなりません。
Q1後継者はご子息でしょうか、その他でしょうか?
A1. ご子息である。
① 計画的な株式の移転
相続・贈与・譲渡等で株を後継する子に渡せればよいことになります。贈与や売買を基本として、相続対策とともにすすめましょう。贈与税、相続税の課税繰延の制度もあります(かなり要件が厳しく、適用できるケースも少ないのですが)。いろんな方法はありますが、いずれにしろ早めの対処が肝心です。
② 株式は集めましょう
2代目以降の方であれば、その後継者にとって従兄弟など、やや遠い親戚が株主になっているケースも多いと思います。もう10年すると知らない親戚が株主にということもあります。親戚付き合いがあるうちに買取(本人・自己株式)などで株式を集めることが長期の安定経営にとって非常に重要です。
③ 後継者以外の兄弟は?
兄弟仲良くということで、会社と関係ないご子息にも株を分けようという方がいらっしゃいますが、私は、あまり望ましいことではないと最近思っています。
後継する子に最低でも会社の発行済株式の3分の2が行くようにしましょう。親が思うほど、兄弟は仲良くなく、将来の経営の障害となるケースは多いです。
A2. 子ではない。
ある意味こちらの方がビジネスライクに進められます。割り切って考えてすすめましょう。
① そもそも株式を渡す必要があるのか?
社長だけ交替させればいいじゃないかという考え方です。社長を雇用するというイメージでしょうか。
メリットとしては、影響を維持できるという点 デメリットは、後継社長のモチベーションや株主が亡くなった後に困るかもしれない。
この辺りを勘案して決めることになるでしょうか。
中小企業の場合には、大抵借入金の保証人をも承継する必要があり、こちらの方が大きなハードルとなる場合もあります。
ただ、長期的に考えると株式は売却して所有と経営を一致させたほうがよいと思います。影響力をある程度維持したいのなら、「数種の株式」を発行するという方法もあります。
② 後継者に株を渡すとしてどうするのか?
基本的には、売買です。さて売買額は?となりますが、これが難しい問題です。他人間なら双方納得の金額でよいのですが、目安になる金額は、どうしても相続税評価額などになるでしょうか。いずれにしろ会社資産・債務の精査、業績検討、社長からの借入金をどうするかなど、ちゃんと詰めることが双方にとって良い結果になるはずです。
③ 資金調達
株式を買い取るためには、お金が必要です。
資金調達もなかなか簡単にはできないので、この辺りも計画する必要があります。
株式だけでも、他人承継のほうがハードルは多いです。会社の保証人の問題、買い取り資金、その後の処遇などなど課題だらけです。子供なら、「親父、仕方ねーなー」で済むことが、そうはいきません。
他人承継ではもちろん、ご子息への承継でも、M&Aで外部に売却できるくらいの会社にしていくことが基本です。会社資産の健全化や会社の強みを強化する取組は進めましょう。承継では、現在のオーナー経営者が会社についてより客観的見つめなおすことが第一歩です。
株式以外の問題も当然あります。またの機会に。
○AKB48総選挙がありました。ご存知ない方に解説ですが、地方選挙ではありあません。メンバーがいっぱいいる女性アイドルグループの人気投票です。1位になると次に発売になる曲をセンターで歌え、上位に入るとメディアへの露出が増える権利が与えられます。ファンはひいきのメンバーを上位にすべく、努力するのです。 ○CDを買うと選挙権がついています。このCDは150万枚を超える売上で、CDが売れない時代に5年振りの記録とのこと。選挙の総投票数116万票。大量購入するファンがいるとしても、すごい数です。趣向が多様化する中で、一種のムーブメントにまでなっているように見えます。 ○この仕掛人は秋元康氏。秋元氏は、おにゃんこクラブから美空ひばりまで手がける作詞家?放送作家?プロデューサー?で、かれこれ30年いろんな流行ものを生み出すスーパーマンです。秋元氏によれば、流行は追うものではなくって、待っているとやってくるものだそうです。自分が面白い!と思うものを追求し、行動しているといつか時代のほうが近づいてくるということのようです。 ○この最たる例が『もしドラ』=『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』です。この作者も放送作家ですが、ドラッカーが大好きで、すっと勉強していて、ブログに連載しました。ドラッカーの『マネジメント』は経営学の教科書で、さほど楽しい話ではありません。これにベタな青春ストーリーを組み合わせれば、あら不思議。(とても分かりやすい経営学の本です。) ○『もしドラ』の主人公は、AKB48の高橋みなみさんをイメージして書かれたそうです。映画化された『もしドラ』の主人公役は、AKBの顔、総選挙1位の前田あっちゃん。この辺りは流行を追っているのでしょうか。 |
|