宇賀田会計事務所ニュース 平成22年6月号
2010/06/03
みなさま宇賀田会計事務所をいつもご利用いただき、ありがとうございます。
随分と長く寒い時期が続いたので、春が来た感覚にならず夏が来てしまう気がします。事務所の裏にムクドリが巣を作り、ガーガーとうるさくて困ります。弱ったものです。
1.役員退職金の最近の事情
最近の税務調査だと、役員給与関係の否認事例がよくあるように感じますし、周りの噂話でも多いようです。特に今回は、否認されると、損金にならない上に、賞与の源泉税を取られてしまう役員退職金の話をいくつか。
(1)分掌変更による退職金の支払
代表取締役社長が退任し、平取締役や役員でなくなった場合に、退職金が支給できるということです。条件があって、登記とか議事録とかは当然として、給与を2分の1以下するという項目があるのですが、これらの条件を満たしただけでは否認されるケースがあるようです。
つまりは、実際に今まで通りに毎日働いていれば、否認される可能性があるということです。「退職金は辞めるから払うもの」という原則が前提になるのでご注意ください。
(2)払いきれない退職金
退職金の支給を決めたのは良いが、資金繰りや業績の関係で支給しきれなくなってしまうケースがあります。
あまり長期に亘って(概ね3年までといわれていますが)支給をすると、退職金としては認められず、年金や給与として源泉税が発生する可能性があります。ただ、資金繰り等の理由で支給できないときは、理由を決めてある程度時期を前後させても否認までには至らないようです。もし返上するのであれば、早い段階でその意思を明確にして、支給額を変更する必要があります。退職金で所得税はかかりますし、なにより、支給額を変動すると客観的な証拠がないということで、賞与等とされかねません。
客観的事実の積み重ねがものをいいますので、面倒くさがらずに、議事録や経緯の説明資料を用意することが、役員給与関係の否認を防ぐ方法かと思います。
また、保険等による財源準備など計画的な資金の手当てと後継者への事業承継計画と併せて必要になると思われますので、決算対策ではなく、長期的な経営課題として取り組んでいきましょう。