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マツヤの粉飾決算について

2013/02/18

10日程前のことで、またしてもややタイムリーさに欠けますが、長野でスーパーマーケットを経営しているJASDAQ上場企業「株式会社マツヤ」の粉飾決算について報道されました。私の自宅の近所にも2店舗あり、大変身近なスーパーでして、いろんな意味で心配になります。

外部に専門家による第三者委員会が設置され、調査報告が発表されています。読んでみました。

監査法人に粉飾している旨の告発があって発覚したそうです。不正というのはこういうのがないと分からないのかなとも思いました。

簡単にいうと180百万円の仕入に関するリベートを過大計上して、原価を下げるというものです。リベートの監査というのは結構面倒臭いですが、ちょっと調べたりすればある程度分かるのかなとも思います。マツヤは、連結でも総資産が160億円弱の会社でかつ店舗等の固定資産が90億超あるような会社です。リベートはもともと不正が多い勘定科目ですし、少なくとも初年度で1億という結構大きな金額が残高に残ってたみたいなので、なんか残念です。

その後は仕入先からの請求書にリベート分高い金額をにしてもらって調整していたみたいです。それでも69百万以上の未収金はあっただろうし、監査的には、確認状も出すだろうし、差異があれば契約とか確認して、入金推移とかも分析すれば、おかしくない?ってすぐになりそうな気がするんですが。詳細な隠ぺいの手口は記載がないので、どんなものだったのかは良く分かりません。

原因は外部からやってきた商品部長さんが、なんとか利益率を改善しないといけないということで、こういう粉飾をしたそうです。ただ、粉飾自体はリベート不正より前から行われていたかもしれない旨が記載されています。平成21年から平成23年にかけて問題となる事業部の在庫が10倍に膨れ上がっています。その後、システム変更に伴い減少しています。これは売価還元法の計算方法が間違っていて(あえて間違っていてと使いますが)在庫金額が大きくなるように計算したもののようです。この段階でも大問題になって良さそうな気もします。システムが改善して、たな卸資産の計算方法でごまかせなくなったのを機に、リベートの不正となるようです。

そして、一番すごいのは、やはり社長、副社長、常務が60百万円会社の架空利益分を補てんしたところでしょうか。

不正を隠すために60百万円もの金を会社にあげちゃうという大技。なかなかできそうにないです。しかも自分がした粉飾や失敗の穴埋めでもないですし、大したものだなあと。この金額が24年2月期の1億円利益過少計上に含まれているのかしら。

第三者委員会の報告では内部統制の不備という点が記載されています。不備といえばそうかもしれませんが、「リベートなんて担当者の口約束で決まっちゃうからわからねーよ」的なことを声高に叫ばれ、それで社内、会計監査人監査も大体のことが済んでしまっていたのではないでかなと考えてしまいます。また、内部統制監査とかいうけど、実際不正への対処・防止としては、非常に弱いと言われても仕方がないかなと感じます。

いずれにしろ、粉飾決算してもいいことは、そんなにありません。銀行だまして融資を得やすくできるくらいでしょうか。ちゃんとした数字が分かる状況というのが、長期的には必ず企業の発展につながると思います。

 


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