長野地裁が厚生年金基金脱退認める判決
2012/08/24
長野地裁が厚生年金基金脱退認める判決
個人的に、かなり注目してた裁判の判決がでました。
注目の理由は2つ
この裁判の対象となった『長野県建設業厚生年金基金』というのが、横領23億円があり、その担当者であった事務長が見つからないスキャンダルがあった上に、AIJでも65億円の損失を出しており、合計すると総資産の約半分を喪失しているという世にも恐ろしい基金だという点。
あと、中小企業の総合型厚生年金基金というのは、ほとんどが運営運用が困難な状況にあるのに、解散も脱退もできないジレンマに多くの加入企業が陥っていて、本当に困っているという点です。別に何もしないで勝手に脱退するわけではありません。加入会社は、その時点での責任準備金の不足額などを支払ってから脱退しようとしてるんですが、例え金払っても脱退できないという現実があるのです。
そして、今回の判決。判決文を読んだわけではないですが、長野地裁は、少なくともやんごとなき理由があれば、厚生年金基金を脱退できるとしました。
今まで、いろんなところの話で、「脱退するのは事実上不可能」と聞いていたので(そんなことが、法治国家で民主主義の日本にありうるのか?って思いますが)、相当画期的な判例なのでしょう。でも「やんごとなき理由」ってなんですかね。
今後、AIJ問題以降、いろんな所で基金脱退に関する同種の裁判が繰り広げられています。最高裁まで行く裁判もあるでしょうから、司法判断は明確になるんでしょうね。
いずれにしろ、この手の厚生年金基金はもうどうしようもないところが多いようです。お客様のところでも話す機会がありますが、「50%くらいで失敗してヤバい」という話ではなく、「必ず沈む船に乗っている」状態です。
基金が解散や破産しやすくするための法律を早急に整備しないといけないと思われます。
現段階でさえ、加入企業にはものすごい負担になってしまっているのですが、放置すれば、もっとただ倒産する会社が増え、その他の人が負担する社会保険料や税金がどんどん増えていくだけになることは分かり切っています。
こういう判決を機に、バンバン進むといいのですが。