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オリンパスの粉飾決算は分からないの?

2011/11/10

金融庁、オリンパスの監査法人を調査へ

オリンパスが巨額の損失隠しをバブルの頃から行っていたことが最近話題になっています。手法は、いわゆる金融商品などを駆使した「飛ばし」と呼ばれる手法と報道されています。

~2009年まであずさ監査法人、それ以降が新日本監査法人が監査を行っていたそうです。

さて、ここからは完全に推測です。悪しからず。

多分あずさ監査法人は、良く分からない『穴』に膨大なお金が流れ込んでいくことは分かっていたんだと思います。でもその全貌は全くわからなかった。そこで、契約打ち切り。その後新日本監査法人が収益右肩下がりの昨今喜んで引継、ババを引いた形になったのかと思います。

公認会計士監査は、市場に質の悪い財務諸表が流れないために行われているのですが、基本は委任契約です。財務諸表が正しいか分からないからって監査報告書を出さないようにするためには、それ相応の理由と証拠が必要です。でないと、債務不履行と損害賠償請求を監査先の会社から起こされてしまいます。監査意見の不表明となれば、上場廃止かもしれないので、賠償請求裁判で負けると監査法人など瞬殺です。

で、とりあえず契約を解除しようということになります。なので、監査人交代がある場合は、何かしらのそれなりの理由があるケースが多いと推定できるのです。

そして、全貌が分からないのか?公認会計士は無能か?この手のニュースの際に必ず話題になることです。結論から言うと、完全に把握することは不可能です。分かるとすれば、損失発生して、会計基準が変わって損失処理を要求された前後が一番分かるはずかと。

ただ、その当時の監査は、監査基準も会計基準も今より緩く、なあなあだったかもしれません。

オリンパスのケースでは、М&A時に買収額の上乗せやコンサルタントFeeを支払い、損失を徐々に顕在化させていったようです。例えばですが、買収元の会社のオーナーに損失を押し付けたあとで買収を行ったりして買収資金で損失補てんする形で勘定合わせをするなら、買収元のオーナーのもつ金融商品等重要な契約を全部調べないと分かりません。そんな権限はそもそも監査人にありません。

完全に会社の帳簿の外側で行われれば、その旨を会社から教えてもらわないと分からないのです。

ちなみに数百億円の損失を飛ばす契約なんか、A4用紙10数枚程度で出来てしまいます。お金も一切動きません。すごい額の損失だ!って言っても、先延ばしのスキームはすごく地味な方法で行えるんです。その紙を隠されたらわかりません。

こんな限界のほかに、普通不正経理はかなりの隠ぺいを伴います。監査は捜査や官庁で行う検査ではないので、例えばメールを全部開示しろとか、捜査で行うような行為まで踏み込めないのです。

今回だと、「なぜこんな訳の分からない合理性ないM&Aするの?」って会社に聞いて、「コンサルタントが大丈夫っていってたし、担当者もアホだっただから、未来のことは分からないしね。」と答えられたらほぼ終了です。一生懸命検討したっていう書類は、会社に簡単に作成できます。おかしいなぁ?と思っても、その先にはなかなか進めないのです。

監査は基本的に『善人』を対象としています。少なくとも会社の中枢である経営陣は善人であることを前提としてます。なので、経営陣が不正しろ!と口頭で大号令をかければほぼ発見できません。多分捜査でも難しいのではないでしょうか。

結局、経営者のモラルと意識の問題なんです。

今回だって、バブルの時に発生した損失は、顕在化した(する)損失より、もっともっとずーっと小さかったはずですよ。損切りしちゃえばどうってことなかったはず。合理的な意思決定とはいえないのです。

またしても、会計士の言い訳になってそうですが、私のような小童会計士のオリンパス騒動の感想はこんな感じです。


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