宇賀田会計事務所ニュース 平成23年4月号
2011/04/01
東日本大震災が発生しまして東北地方を中心に甚大な被害が発生し、長野においても栄村を中心に大きな被害が出ていると聞いています。皆様の周囲はご無事だったでしょうか。被災された方には、心からお見舞い申し上げます。
1. 震災の制度的な支援
震災の影響で、取引先などでも大きな被害が生じているケースや、特に飲食業を中心に3月予定されていたイベントがキャンセルになるなど、経営上大きな影響が出ている方もいらっしゃると思います。
(1)税制について
① 震災に関する特別措置
4月中に、震災により直接被害を受けた方についての平成22年分の税額還付や平成23年以降の税額軽減措置が決まるとのことです。
② その他の税制
この震災で、国会で決まるはずだった税制がどのようになるか分からなくなっています。法人税の減税、所得税、相続税の増税など、今回大きく変更となると言われていたものだけでなく、続きそうな税制(中小企業の税率22%→18%になっている)などもどうなるか分かりません。変更された税制については、分かり次第お伝えいたします。
→ 3月31日に全ての租税特別措置が期限延長されるつなぎ法案が可決されました。
「全て」「3ヶ月間」らしいので、なくなるはずだった税制も3か月存続しています。
(2) 資金調達
震災の直接被害があった方には、県(信用保証協会)による緊急融資制度があります。
直接でなくとも、震災による急激な業績の変化から資金繰りがつかなくなった場合には、当事務所でもできる限り協力いたしますので、ご相談ください。
(3)雇用
震災関連の業務閉鎖などで、雇用が維持できない場合などには、助成金制度などが活用できる可能性があります。
(3)義援金(義捐金)・寄附など
各方面で、義援金や寄附金を集めていて、それに協力している方も多くいらっしゃると思います。義援金は気持ちの問題なので、どこに寄付してもいいのですが、税金を絡めると以下のことがいえます。
地方公共団体(県、市町村)への寄付、日本赤十字社や特定の公益法人などへの寄付は、寄附金控除を受けることができます。(一般に後日寄附金控除の対象となることが分かる「領収書」が発行されます。)
この場合、個人の場合だと限度額はありますが(寄付金額-2000円)の寄附金控除が受けられ、法人であれば、全額損金算入にできます。
対象とならない団体への寄付は、個人では全く税額控除の対象とならず、法人でも損金にできないことがあります。また、損金に認められにくい債務免除も、震災で損壊した会社への債務免除などは損金に算入できる可能性があります。ただ、寄附金関係は、租税特別措置で緩和される可能性があります。
2. 協会けんぽの金額が増額します。
平成23年4月納付分から協会けんぽの健康保険料が現行の9.26%→9.39%に、介護保険も1.50%→1.51%に改訂されています。
給与計算に影響があるので、ご注意ください。
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○福島県郡山市に友人がいることもあり、震災後の19日に支援物資を持って訪問してきました。福島県は、津波による被害のほか、原発騒ぎが大きな問題となっており、放射線の影響や風評被害、支援物資が届きにくい状況が報道されています。
○「マイクロシーベルト」「ベクレル」とか、具体的なのに聞きなれない数量単位。なんかの何10倍とかいうやたらと大きく感じる数字、「放射能は怖い」という漠然としたイメージが加わり、さながらホラー映画のように必要以上の恐怖心や焦燥感を煽られているような気がします。
○有識者のコメントではパニックなどを防ぐために「より正確な情報を提供すること」が必要だと言われていますが、それは間違いだと私は思います。より正確な情報が必要なのではなくて、大体正しい理解が大切です。
○正確な情報は、理解するに結構な知識が必要ですが、それでも正しい結論に辿りつけるかは分かりません。また、理解しても、それが感情や行動とは余りリンクしないものです。ちなみに、今回の放射線や放射能を気にする人は、たばこを吸う人には近づけないことになります。(将来のがんリスクは、年間たばこ3本吸うのと、今回の話題のほうれん草を1年食べ続けるのとで大体一緒らしいです)
○会社の決算などの数字も同じです。どうやって算定されたかの正確な理解は重要でなく、経営としてやっている施策と数字として出る利益や資金繰りが、正しいイメージとして持てているかが重要なのではないでしょうか。会計事務所としても、そういう説明ができるように心がけなければなりません。