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上下水道の話

2010/09/08

今年の6月から、公認会計士協会からの紹介で、長野市上下水道事業経営審議会委員なるものをやっています。

長野市の水道のあり方としての「中期ビジョン」なるものがあるのですが、年間4~5回集まって、「ビジョンはこんな感じでよいでしょうか、意見はありませんか?」という会合です。

参加している方は、水道局関係、各種業界団体、市民代表、専門家など結構な人数で構成されています。

参加させていただき、正直に「蛇口をひねれば、飲める水が当たり前に出てくる」とか、「汚水は下水流せばきれいに処理されるらしい」という社会は、維持だけでも大変だということです。海外行けば、そんな国はなくないですか?世界から見ると淡水が絶対的に不足していて、それが豊富にある日本を宝の山と考える国も出てくるかもしれません。戦争の原因ともなりうる世界的な問題です。

地元の話に戻します。水道局の方の試算によると、上水道も下水道も値上げなくして維持できないそうです。今年、上水道料金が値上げになりましたが、2年くらいでまた収支足らずになるようです。

水道ネットワークは、借金でつくり、利用料で返済する形で維持されています。借入の額もかなりの額です。一方で人口が減少し、節水意識や設備等の必要な水の量が減少していることもあり、今後収入は減少の一途をたどる見通しです。

確かに、提供いただく資料を拝見しても20年後に、今の5倍くらいの水道料金になっていても全く不思議はない感じがします。それか、借金を返せなくなって債務免除でもしてもらうようにするのでしょうか。または、国債の償還同様ハイパーインフレを期待するしかないのでしょうか。

今も、山村部で舗装された広い道を通すより、引越ししてもらうほうが安上がりという話をする人がいます。20年くらいのうちには、水道工事のコストが割りにあわないから、部落ごと移動してくれという話もあるかもしれません。日本中で起こりうる普通の話だと思います。

水道の維持にかかるコストは大きいです。しかし、これをやめることは絶対にできません。

ちなみに長野市が他の自治体に比べて水をきれいにしたりするコストが高いわけでは有りません。どちらかというと全国平均より低いくらいのようです。水道局の方はそれなりに危機意識を持ってなんとかしたいと考えているようです。でも、当たり前ですが、業界や市民は水道代が高くなるのは歓迎ではありません。

本当に今後十数年のうちに日本中で水道の維持コストが生み出せず、「飲み水が出ない!」なんて地域がそこかしこに発生することもあるような気がします。

ただ、こんな重要な飲み水が当たり前に出る社会を維持するための提言や方針を年数回の数時間で提案したり責任ある議論なども出来るわけなく、この審議会は一体何のためなんだろう?とも思うのでありました。


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