宇賀田会計事務所ニュース平成28年5月版
2016/05/06
宇賀田会計事務所をいつもご利用いただき、ありがとうございます。ゴールデンウィークも真っ盛りですが、10連休の方もいらっしゃるのではないでしょうか。私は、いろいろ考えているうちにサミットがある事も忘れて伊勢に妻と行く予定にしました。やはりGWは料金も高いです。でも混んでいるときに敢えて出かける良さもある気がするようになりました。
1. 空き家にかかる法律・税制
長野市内を歩いていても、非常に空き家が多いということに気づきます。治安にもまちの活気にとっても百害あって一利なしといえる空き家。まだ若年人口がそれなりにいるうちに再活用すべきでしょう。「空家等対策の推進にかかる特別措置法」が整備される等、空き家を撤去できる枠組みも少しずつできつつあるようです。
(1) 固定資産税の特例
法律では、「特定空き家」なる空き家に行政がいろんな「措置」がとれる事を定めています。その一つが固定資産税の減免をなくすことです。居住用の家屋が建っていると固定資産税が6分の1になり、古い家だと家屋の評価額も安いので、固定資産税を抑える目的でも空き家が放置されやすくなります。
特定空き家とは、簡単にいうと管理する人がいない、壊れそうだったり不衛生だったり景観を損なったり、害虫(獣)の温床になっていたりする家です。
空き家の課税を強化するだけでなく、行政で空き家を取壊しに際して補助金も出す制度を設置できるようにもなっています。
(2) 空き家の相続税
自用地だった空き家に優遇措置はありません。小規模宅地の特例をとるためには、貸すか住まなければなりません。
(3) 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例
空き家自体を増やさないようにすることも大切で、居住用住宅が空き家になるきっかけで一番多いのが相続だそうです。そこでこの4月から相続で取得した一定の土地建物を更地等にして売ったときに3000万円の所得控除ができる制度が創設されました。現行制度では、相続した空き家の取得価額が分からない場合には売却額の5%が取得費とみなされるので、ざっと売却額の19%弱が課税されます。この税額分を土地建物の運用で稼ぐのは結構難しいので、更地にして売買するのも有力な選択肢となります。
主な適用要件をまとめます。
・相続した居住用の家屋で譲渡時まで居住・賃貸・事業の用に供していないこと。
・昭和56年5月31日以前建築された家屋(マンション等は除く)があり、耐震工事or撤去すること。
・相続から3年を経過する年の12月31日までに譲渡
・譲渡価格が1億円以下
調べると要件を満たすのが難しい制度な気がします。しかし、最近の少子化で一人の相続人が両親の祖父・祖母の兄弟の資産まで相続するようなケースもあります。ともかく土地を売りやすくするのはいいことですし、相続時には、多すぎる土地の処分は念頭におくべきかと思います。
○最近、「パナマ文書」なる法律事務所から流出したタックスヘイブンの利用名簿が話題です。名簿に載った政治家が辞任に追い込まれるなどして大変なことになっています。タックスヘイブンは、税の負担が著しく低い(ない)国や地域のことで、そこに取引をもっていけばいろんな税金を免れる事ができます。このこと自体は、脱税のような犯罪ではなく結果的に税金を払わなくて済む合法な行動です。
○サラリーマンの頃、タックスヘイブンのケイマン諸島とかにある多分ペーパーカンパニーとの取引の書類をたまに見ました。英語で書かれたペラペラの書類で、見るからに怪しいものもあり困ったこともあった気がします。大抵は不動産や金融系のファンドへの支払いで、当時の私は、税金を良く知りませんでしたが、今になるとその会社にとって、租税回避にはなっていなかったと思われます。 ○長野では、タックスヘイブンと無縁な生活を送っていて、本当のお金持ちやグローバル企業による別世界と感じます。我ながら専門家としても別世界じゃいけないと思いますが、日本からの恩恵で生きているならとりあえず日本で納税するのが筋なわけです。とはいえ税金を納めたくないのも心情で、お金持ちほど税金を払わなくて済む仕組を利用でき、お金が少ない人ほど逃げ難いのが現実です。 ○諸説ありますが、タックスヘイブン利用で消費税総額より多い税金を政府が取り損なっているとも言われています。これらに適正に課税できれば、増税も特に必要なく財政再建が達成できるらしいです。先進国では、どこの国でも問題になっているわけで、サミットや参議院選挙が近いこともあり消費税が8%据え置きの噂が出ていますが、そんなことより、こういうところにうまく課税できるような協力がサミットでできないものかなと思います。でも、政治家さんが利用しているんでしたっけ。 |